22:海藻が語る未来

海藻は海の健康を映す鏡。昆布とあまもが語る未来は、気候変動や生態系の変化を私たちに警告しています。ここでは、海藻が果たす役割と、海の異変から見える未来について、わかりやすく解説します。

🌊 海藻が語る「海の健康診断」とは?

海藻は、海の環境を映し出す「指標生物」としての役割を持っています。特に昆布やあまもは、海の温度、栄養、汚染、生物多様性などの変化に敏感に反応するため、海の健康状態を知る手がかりになります。

🧬 昆布が教えてくれる異変

北海道・函館では、かつて豊富だった天然の真昆布が、近年急激に減少しています。その原因は複合的です。

– 海水温の上昇:昆布がよく育つ理想の水温は冬季で1℃前後。しかし、2025年には4〜8℃にまで上昇し、成長が止まり枯れてしまう事例が報告されています。

– ウニの異常繁殖:昆布を食べるウニが冬でも活動を止めず、小さな芽まで食べ尽くしてしまう。しかも、増えすぎたウニは痩せて商品価値がなく、漁師も獲らないため、悪循環が続いています。

– 爆弾低気圧による「浜洗い」:2016年の嵐で海底の海藻が一掃され、回復が困難になった地域もあります。

これらの現象は「磯焼け」と呼ばれ、藻場(海藻が生い茂る海の森)が失われることで、魚の産卵場所や食料源が減り、漁業にも深刻な影響を与えています。

🌱 あまもが語る再生の希望

一方、あまも(海草の一種)は、海底に群生することでCO₂を吸収し、ブルーカーボンとして気候変動の緩和に貢献します。

– 江の島の「海さくら海創造プロジェクト」では、あまもを植えて海の再生を目指す取り組みが続けられています。しかし、黒潮の蛇行や土壌の変化、季節来遊魚による食害などで、定着が難しい状況もあります。

– あまもは水質浄化、波の緩衝、生物のゆりかごとしての役割も持ち、海の生態系を支える重要な存在です。

🧪 海藻が持つ未来の可能性

海藻は、環境指標としてだけでなく、資源としての価値も高まっています。

– フコイダンなどの成分は、化粧品や医薬品、バイオプラスチックの原料として注目されており、地域経済の活性化にもつながります。

– 北海道大学では、養殖期間を短縮し、成分含有量を高めた「北大ガゴメ昆布」の開発が進められています。

🛠️ 私たちにできること

海藻が語る未来は、単なる自然の話ではなく、私たちの暮らしや産業、気候の未来に直結しています。

– 海藻の再生には、ウニの除去や藻場の手入れなど、地道な活動が必要です。

– 企業や自治体、大学、漁師が連携し、「海とこんぶの森プロジェクト」などの取り組みが進められています。

– 私たち一人ひとりも、海の変化に関心を持ち、持続可能な消費や支援を通じて、海の未来に貢献できます。

海藻は沈黙の語り部。その姿が消えゆくとき、海のSOSが聞こえてきます。昆布やあまもが教えてくれるのは、海の健康だけでなく、私たちの未来そのものなのです。

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