海に鉄をまくことでCO₂を減らす可能性がありますが、効果とリスクの両面があります。最新研究では、藻場造成や植物プランクトンの増殖によるCO₂吸収が注目されています。
以下に、最新の研究成果とその仕組みをわかりやすく解説します。
🌊 海に鉄をまくとCO₂が減る仕組み
– 鉄は植物プランクトンの成長に必要な微量栄養素です。海に鉄をまくことで、植物プランクトンが増殖し、光合成によって大気中のCO₂を吸収します。
– 吸収されたCO₂は、プランクトンの死骸や排泄物とともに「海洋沈降粒子」として深海に沈み、長期間にわたって炭素を隔離することができます。
🧪 最新の取り組みと成果
日本製鉄の「海の森づくり」プロジェクト
– 鉄鋼スラグ(製鉄の副産物)を使って、海藻が育つ藻場を造成。
– 北海道増毛町では、藻場面積が8年間で5.5倍に拡大し、CO₂吸収量として49.5トンのブルーカーボン認証を取得。
– 水産資源(ウニやニシン)の回復にも貢献。
JAMSTECのフェオダリア研究
– 微小なプランクトン「フェオダリア」が、深海への炭素輸送に無視できない役割を果たしていることを世界で初めて定量化。
– 炭素輸送量の約6割を1mm未満のフェオダリアが担っている。
⚠️ 注意点と課題
– 鉄をまくことで有害な藻類(例:ドーモイ酸を出す種)が増殖し、赤潮や海洋生態系のバランス崩壊を引き起こす可能性があります。
– 深海の酸素濃度が低下するリスクもあり、慎重な設計と管理が必要です。
✅ 結論
海に鉄をまくことでCO₂を減らす「海洋鉄肥沃化」は、地球温暖化対策として有望な技術ですが、環境への影響を考慮した慎重な運用が求められます。日本では藻場造成によるブルーカーボンの活用が進んでおり、CO₂削減と水産資源の再生を両立する取り組みとして注目されています。

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