26:鉄炭だんごによる市民参加型の海の再生と未来の漁場づくりについて、わかりやすく解説します。

森のしずくが海に届くとき――鉄分がつなぐ命の旅路とは?

森から流れ出るしずくが、やがて海を潤す――この美しい自然の循環には、目に見えない「鉄分」が重要な役割を果たしています。鉄は、森と海をつなぐ命の架け橋。ここでは、鉄分がどのように森から海へと旅をし、海の生態系を支えているのかをわかりやすく解説します。

🌲森から始まる鉄の物語

森の地面には、落ち葉や枝が積もり、微生物によって分解されていきます。この過程で生まれるのが「フルボ酸」という有機物質です。フルボ酸は鉄と結びつきやすく、土壌中の鉄と結合して「フルボ酸鉄」となります。

このフルボ酸鉄は、雨によって川へと流れ出し、河川を通じて海へと運ばれます。つまり、森のしずくには鉄分が含まれており、それが海へと旅をするのです。

🌊海で鉄分が果たす役割

海の生態系を支えるのは、植物プランクトンや海藻などの光合成生物です。彼らが成長するためには、窒素・リン・ケイ素などの栄養塩が必要ですが、それらを吸収する前に「鉄分」が不可欠です。

しかし、海水中の鉄は粒子状で存在しており、そのままではプランクトンや海藻が吸収できません。そこで登場するのが、森から運ばれてきた「フルボ酸鉄」。この形ならば、プランクトンや海藻が鉄分を吸収できるため、光合成が活発になり、海の生態系が豊かになるのです。

🐟鉄分が育む豊かな海

鉄分によって植物プランクトンが増えると、それを食べる小魚や貝類が育ち、さらにそれらを捕食する大型魚も集まります。こうして、鉄分は海の食物連鎖の起点となり、漁業資源の豊かさにも直結するのです。

実際に、北海道の襟裳岬では森林伐採によって鉄分供給が減少し、海藻が枯死、漁獲量が激減しました。その後、植林活動によって森を再生させたことで、海の生態系も回復したという事例があります。

🏞森と海のつながりを守るために

近年、護岸工事やダム建設などによって、森と川、そして海のつながりが寸断されるケースが増えています。その結果、フルボ酸鉄の供給が減少し、海の栄養不足が深刻化している地域もあります。

このような状況を改善するために、「森は海の恋人」運動などの植林活動が全国で展開されています。森を守ることは、海を守ることにつながるのです。

🔁自然の循環と鉄分の旅

森から海へと流れる鉄分は、海の生態系を育み、海から蒸発した水蒸気は雨となって再び森に降り注ぎます。この循環こそが、地球の命のリズムであり、鉄分はそのリズムを支える重要な要素なのです。

鉄は人間の体にも不可欠な元素であり、血液中のヘモグロビンに含まれて酸素を運ぶ役割を担っています。つまり、鉄は森・海・人間をつなぐ「命の元素」とも言えるでしょう。

🌱まとめ:森のしずくが海を育てる

– 森の土壌で生まれたフルボ酸鉄が、川を通じて海へと運ばれる

– 海ではフルボ酸鉄が植物プランクトンや海藻の成長を支える

– 鉄分が海の食物連鎖を起点となり、漁業資源を豊かにする

– 森と海のつながりを守ることが、自然の循環を維持する鍵

森のしずくが海に届くとき、そこには目に見えない鉄分の旅があり、命のつながりが広がっています。私たちが森を守ることは、海を守ること。そして、地球全体の命を守ることにつながるのです。

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